いくつになっても、雪が降ると犬のようにわくわくと落ち着かない気分です。雪かきが大変、道が滑る・・・・・・そうした苦労とは全く別の次元で、どこか気持が弾んでしまうのは、いつもと違う感じをいつでも待ち望んでいるせいかもしれません。なかなか大人になれません。
♪キックキックトントン キックキックトントン
「雪渡り」 宮澤賢治
子どもの時分に目にしたこの歌が、雪が降るたびよぎります。ときに難解と評される宮沢賢治ですが、あまりむずかしく考えずに、まずはリズムに乗ってみれば、あるいはどのお話も楽しいお話なのかもしれません。
物語「雪渡り」は、四郎とかん子の兄妹が、ある晴れた日に雪の野原で小狐の紺三郎と出会い、面白おかしく歌います。それから狐の幻燈会に招かれて、歌そのままの映画を目にします。言ってみればそれだけの話です。たとえ話のように受け取って、ここから立派な教訓を引き出すこともできますが、全編にみなぎる楽しいリズムだけで、十分作品として成立するように思えます。
長らく、詩人・宮澤賢治という呼び方に違和感を覚えていましたが、その呼び方がすとんと腑に落ちるこの頃です。
図書館正面玄関前はタイル張りのため、大変滑りやすくなっております。ご来館の皆様にはくれぐれもお足元お気をつけ下さい。明日も雪が降り続けたら、ひょっこり狐の子どもが顔を出すかもしれません。
【 りぶろ 】