市立釧路図書館のブログ

北海道釧路市幣舞町4-6にある市立釧路図書館のブログです。ウェブサイトはhttps://lib.city.kushiro.hokkaido.jp/からご覧いただけます。

本のなかの図書館特集 第1回

おはようございます。市立釧路図書館をご利用いただきありがとうございます。

さて、今週から6月の連載です。今月は何にしようか~とスタッフ一同話し合った結果…なんともマニアックなタイトルに決定いたしました。皆職場好きすぎじゃないか?いやいや好きなものは好きなんだからしょうがないっ!というわけでトップバッター3階郷土行政資料室いきます!

 

『無垢の領域』(桜木紫乃∥著.新潮社.2013)

こちらでも度々取り上げてきましたが、これは紹介しないわけにはいかない!ということで、またしても桜木紫乃さんです。

舞台は釧路。書道家の秋津が図書館でひらいた個展に図書館長の妹・純香が現れたことをきっかけに、秋津と図書館長信輝、秋津の妻怜子との間に交流が生まれます。胸の内に重たい感情を抱えたまま日々を過ごす彼らに、純香は幼子のようにおもうまま言葉を投げかけるのですが、それぞれが彼女の言動に乱されていきます。焦燥、諦観、嫉妬。どうしようもない現実をそれでもどうにかしなければならない、どうにか生きなければならない。登場人物たちが抱える葛藤が、物語を一歩一歩動かしていき、やがて終わりを迎えるのですが…。

主要人物の信輝は市立釧路図書館の図書館館長という役どころ。もちろん架空の人物なのですが、図書館のつくりはまさにここ、市立釧路図書館です。秋津の書道教室も図書館近郊に設定されていますし、幣舞橋も重要なシーンに登場します。「あぁ、そうそうこんな感じ」というところもあって、釧路の雰囲気がたっぷり伝わります。釧路市民兼図書館のなかの人としてはなかなか興味深い。(※もちろんフィクションです。図書館に信輝はおりませんのであしからず。)

ご講演などでたびたびご来館くださっていた桜木さん。馴染み深い図書館も作家さんの目を通して、作品としてアレンジされるとこうなるのか、という新鮮さがあります。

 

3階の「なかの人」は外国文学大好きなので、図書館の出てくる本というと『言の葉の木』(アーシュラ・K.ル・グィン∥著.早川書房.2002)、『エンデュミオン・スプリング』(マシュー・スケルトン∥著.新潮社.2006 )、『薔薇の名前』(ウンベルト・エーコ∥著.東京創元社.1990)...マニアックすぎるのでなかなか紹介できません。/p>